柏の伝統野菜・坊主不知ねぎ
千葉県柏市では古くから「坊主不知(ぼうずしらず)」と呼ばれるねぎが栽培されてきました。地元の農家からは「無坊(むぼ)」とも呼ばれています。
この坊主不知ねぎは、その名の通り、ねぎ坊主が出ないという特性があります。通常、ねぎは春になるとねぎ坊主が出て食味が低下してしまいます。ですが、この坊主不知ねぎは、ねぎ坊主が出ないため、春でも美味しいねぎが食べられるという優れものです。
生産量の減少とその理由
坊主不知ねぎは、年々生産量が減少しています。農家の高齢化や栽培に手間がかかるからという理由もありますが、一番の理由は何でしょうか?
その答えは見た目が悪いからです。
ねぎの品種を大きく分類すると「一本ねぎ」と「分けつねぎ」に分けられます。一本ねぎは白身の部分が真っすぐで見た目が良いのですが、坊主不知ねぎをはじめとした分けつねぎは白身がやや曲がっていてグニャグニャしているため見た目があまり良くありません。
野菜の旬をよく知っていた昔の人々は春になると、一本ねぎではなく坊主不知ねぎを食べていました。
ところが時代が変わり、いつしか野菜は旬ではなく見た目で選ばれる時代となりました。
そうすると、春になっても見た目が良いという理由で、食味の劣る一本ねぎ求める人々が増え、本来旬であるはずの坊主不知ねぎは廃れていきました。
見た目と味の逆転現象が発生しているのです。
こうした逆転現象が起こっているのは、ねぎだけではありません。
古来種の他の野菜も同様で、食味は良くても見た目が悪く、栽培に手間がかかるなどの理由から衰退してきました。
とねぎと坊主不知ねぎの再興
この状況に危機感を抱いた当社では、ねぎ本来の旬の味をお客様へお届けするため、あえて見た目が悪く、栽培に手間がかかる坊主不知ねぎの栽培を拡大しています。
「お客様に本物の旬の味をお届けしたい」という想いから、当社では地道な食育活動を通じて多くの方にねぎの旬を知っていただくことにより、地域の伝統野菜である坊主不知ねぎを守り、高品質なねぎの生産を行ってまいります。